風俗営業許可申請に必要な各種費用と申請時の注意点について

キャバクラなど接待を伴う飲食店や、パチンコ店、ゲームセンターといった「風俗営業」を開業するには公安委員会の「風俗営業許可」が必要です。

許可申請の際には「許可申請書」などの書類に加え、条例で定められた申請手数料を納めなくてはなりません。また手続きを専門家(行政書士)に依頼する場合は、行政書士に支払う報酬も発生します。

今回の記事では申請手数料や一般的な行政書士報酬、その他の費用について風俗営業の種別ごとに解説します。行政書士に依頼できる範囲や申請時の注意点についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

風俗営業許可申請の費用一覧

これから風俗営業許可を申請する方にとって「トータルでいくらかかるのか?」は非常に気になるポイントでしょう。しかし実際のところ、どのような風俗営業を営むか、どの行政書士事務所に依頼するかによって必要な費用は異なってきます。

さらに細かいことを言えば「個人として申請するか、法人として申請するか」でも必要な添付書類が変わるために、書類の取得にかかる費用(実費)が変わってしまうのです。

このように風俗営業許可申請の費用はケースごとに異なりますが、ここではおおまかな費用について、風俗営業の種別ごとに見ていきましょう。なお具体的な申請手数料については神奈川県の規定に基づいて解説します(参照:神奈川県警察「風俗営業等の規制概要と営業申請(届出)手続」https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesd0017.htm)。

第1号営業

第1号営業は「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第1項第1号」に規定された種別です。法律の条文では「客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」となっており、具体的にはキャバレーやホストクラブがこれに該当します。

  • 申請手数料:24,000円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:160,000円〜220,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

第2号営業

第2号営業は「風営法第2条第1項第2号」に規定された種別です。条文では「営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの」とされており、「低照度飲食店」と呼ばれます。ちなみに10ルクスというのは「ろうそくの明かり」あるいは「上映前の映画館」と同程度の明るさです。

  • 申請手数料:24,000円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:160,000円〜220,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

※第1号営業と同程度

第3号営業

第3号営業は「風営法第2条第1項第3号」に規定された種別です。条文では「他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの」とされ、「区画席飲食店」とも呼ばれています。飲食物を提供するネットカフェや漫画喫茶などが挙げられるでしょう。

  • 申請手数料:24,000円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:160,000円〜220,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

※第1号営業と同程度

第4号営業

第4号営業は「風営法第2条第1項第4号」に規定された種別です。条文に「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」とある通り、マージャン店、パチンコ店などが該当します。ただしマージャン店とパチンコ店では申請費用が異なるため、ここでは分けて説明します。

マージャン店の場合

  • 申請手数料:24,000円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:150,000円〜190,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

パチンコ店の場合

  • 申請手数料:27,800円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:400,000円〜700,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

第5号営業

第5号営業は「風営法第2条第1項第5号」に規定された種別です。条文では「スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備」を備えた店舗とされており、ゲームセンターなどがこれに該当します。

  • 申請手数料:24,000円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:180,000円〜220,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

特定遊興飲食店営業

特定遊興飲食店営業は「風営法第1条第11項」に規定された種別です。条文では「ナイトクラブその他」とされており、午前0時以降の深夜に、客に遊興をさせ、客に飲食をさせる店舗がこれに当たります。

  • 申請手数料:24,000円(神奈川県収入証紙で納付)
  • 行政書士報酬:180,000円〜240,000円程度
  • 実費:1,000円〜3,000円程度(住民票、身分証明書、登記されていないことの証明書、法人登記事項証明書、建物登記事項証明書など、必要な書類と枚数に応じて変化)

風俗営業許可申請で行政書士が担当する役割

行政書士は「書類作成や行政手続きのプロフェッショナル」です。ここでは風俗営業許可申請を依頼した場合の行政書士の役割(代表的な業務内容)について紹介していきます。

  • 相談業務…依頼者の相談を受け、風俗営業許可の対象になるかどうか判断する
  • 申請書類一式作成…「風俗営業許可申請書」を作成する
  • 証明書の取り寄せ…住民票など各種証明書の取り寄せを代行する
  • 店舗の図面作成…申請時に添付する店舗図面をCAD等を使い作成する
  • 保健所に「飲食店営業許可」を申請し、店舗の検査に立ち会う
  • 警察署に「風俗営業許可」を申請し、店舗の実査に立ち会う

ここで挙げた業務内容は、必ずしもすべての行政書士が対応しているわけではありません。場合によっては未対応だったり、追加費用が発生するケースもあります。

風俗営業許可申請をする際の注意点

風俗営業許可を申請する際は、いくつかの点に注意しなければなりません。ここでは「3つの許可要件」と「申請期間」「罰則」について説明します。

3つの許可要件

風俗営業許可を受けるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。中には個人で判断するのが難しいものもあるため、あらかじめ専門家(行政書士)などに相談しておいた方が良いでしょう。

  • 人的要件…営業者や店の管理者が、風営法で定める欠格事由に該当していないこと
  • 場所的要件…店舗の場所が「用途地域」や「保護対象施設」の制限を受けていないこと
  • 構造的要件…店舗の面積や照明など、種別ごとの条件を満たしていること

申請期間

申請書の提出から許可証の交付までの標準期間は「55日」です。通常は提出から10日前後で警察や風俗環境浄化協会の実地調査(実査)があり、特に問題がなければ申請日から55日以内に許可通知を受け取ることができます。

罰則

風営法にはいくつかの罰則が規定されていますが、ここでは許可申請手続きと特に関係の深いものだけを取り上げます。

①2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこれの併科
無許可営業
不正手段による許可取得、相続・合併による許可取得
名義貸し

②50万円以下の罰金
許可申請書や添付書類への虚偽記載

自治体によっては他にも細かな制限が存在する場合があります。実際に申請を行う際は、あらかじめ専門家や警察に相談しておくようにしましょう。

風俗営業許可申請費用まとめ

風俗営業許可の申請費用は、種別(第1号〜第5号営業、特定遊興飲食店営業)や依頼先の行政書士、さらに必要な書類の種類や枚数によって細かく変わります。行政書士が担当する業務にも幅があり、場合によっては追加費用が発生する場合もあります。

風俗営業許可申請を行政書士に依頼する際は、あらかじめホームページの情報や無料相談などを通して、業務内容や報酬についてしっかり確認しておくようにしましょう。