深夜営業をするには立地の制限がある

 

深夜酒類提供飲食店や特定遊興飲食店など、深夜0時を回ってからも顧客に酒を提供しながら営業をする業態の場合、開業できる場所には制約があります。
常識的に考えても想像がつくと思いますが、多くの人が寝静まっている住宅街で深夜営業をすることは認められていません。
また、小学校などの教育機関がある地域もNGとなっています。
学校の授業を行っている時間帯がお店の営業時間外だとしても、深夜にお酒を提供するお店が近くにあること自体が、子どもや保護者・先生方にも不安を与えることになりかねないからです。
深夜から明け方や早朝にかけて営業を続けていると、お酒が残った客や従業員などが、子どもたちの通学時間帯に出くわす可能性があるため、悪影響を及ぼす可能性が危惧されています。
つまり、深夜にお酒を提供しながら営業しても、店内から発生する騒音や酔っ払った客などで近隣に迷惑をかけたり、不安を与えたりすることのない場所でのみ営業を行えることになっています。

 

深夜酒類提供飲食店営業の立地要件

ご近所さんが集まれる気楽なカラオケスナックを作りたい、閑静な住宅街の一角に隠れ家バーを作りたいと思っても、そういうわけにはいきません。
なぜなら深夜酒類提供飲食店は、住居地域では営業できない決まりになっているからです。
商業地域か近隣商業地域にしか出店が認められていませんから、店舗の一部が住居地域にまたがっていた場合も認められません。
不動産会社に問題ないと案内されても鵜呑みにせず、念のために区町村役場の都市計画課に問い合わせて用途地域の確認をすることが大切です。
不動産会社は保有している情報が古いケースや、契約を急ぐために確認もせずに契約を迫るケースもあるため、注意しましょう。

 

特定遊興飲食店営業許可の立地要件

特定遊興飲食店とは深夜午前0時以降に客に遊興をさせながら、お酒を提供する店です。
このようなお店を営業するためには、一定の要件を満たして各都道府県公安委員会の許可を得なくてはなりません。
立地要件は設置が許容される地域が政令で定められ、政令の基準に沿って、各都道府県が具体的な地域を条例で定めることになっています。
そのため、出店を検討するときには、出店を希望する都道府県で、どこで営業できるのかを確認しなくてはならないのです。
なお、政令で定める営業所設置許容地域は次のような基準を満たす必要があります。
住居集合地域に隣接している場合はその境界線から20m以上の距離をとった地域であることや、営業所の周辺に保全対象施設がないこと、良好な風俗環境の保全に障害を及ぼすことがないなど、国家公安委員会規則で定める基準に適合するものといったものです。
具体的に定めるのは都道府県であるため、地域によってはピンポイントで利用可能な町名を絞っているケースもあります。
限られたエリアにしか出店が認められないと同じようなお店が狭いエリアに競合することになり、営業が上手くいかない場合もあるため、用途地域の制限だけでなく、事業運営の計画もしっかり立てて臨むことが大切です。